いわゆる「定番」には高額なものもありますが、価格以上に「間違いない」安心感があります。コールマンのランタン然り、スノーピークの焚火台然り。
反面、あまり見かけないものは安価でも購入に迷いがちですが、素晴らしい使い勝手のものを偶然見つけられた時の喜びは格別。
今回はそうした「知名度は低いし安価だけれど本当に良かったもの」について記します。
さて今回厳選したのは7品。
実際にはもっと色々あるのですが、今回はいわゆる調理上の脇役(鍋やバーナーなどを除く)に限定。また現在でも普通に定価で購入できるものとしています(記載している金額は私が購入した当時のもの)。尚、7品には特に順位は無く、目についた順に書いていきます。
では早速。
1. プライヤー(IPSウォーターポンププライヤ GR-190 1,403円)
調理と言っておいて何故工具、と自分でも思いましたが、「熱々の鉄製品を扱う上で、手の代わりとして大きさや機能が秀逸」なのです。燕三条製で1500円未満だったというのもポイント。
私が使う場面は主に鉄板の移動。ヤットコだと角度によって使いにくい、ペンチだと鉄板の厚みによって不安定という問題がありますが、このプライヤーは相手を選ばず、手にもしっくり馴染みます。
他にもドラゴンフライのサイレンサーを取り外すとか、火の点いている蚊取り線香をギリギリで折るとか、アルコールストーブの火消し蓋を被せるとか・・・実は使う場面は結構多いのです。
ところで実はコレ、キャンプギアのブランドから「GR-190Cd」という名前で販売されています。そちらは黒くてカッコ良いのですが、お値段が4倍。
便利そうだけどこの値段では・・・と探したところ、素材や形、大きさまで同じである(要は見た目と値段だけが違う)OEM元を見つけた、という次第でした。サイズ違いもありますが、滑らず力を入れやすいこちらがお勧めです。
2. 鍋つかみ(COOK & DINE HAYAMA レザー鍋つかみ 2,090円)
庭先やキャンプで料理をしていて、焚火などであれば皮手袋を使うでしょうけれど、細かい作業は素手で行いたかったりしますよね。
で、そんな時に限って「一瞬だけ熱いものに触らないといけない」タイミングがある。
鍋つかみがあれば良いわけですが、布製のものは2つ弱点があって、
・濡れると熱を通しやすい
・そもそも燃える危険性
こんなことが気になるわけです。
で、もともと中華鍋のハンドルカバーを探している時に見つけたのがこちら。
ハンドルカバーは固いし、鍋自体の個体差できつかったり緩かったり、という話を聞いて結局買わなかったのですが(そもそも鍋を振っている手で細かい作業はしないので、片手だけ革手袋をすれば済むし)、こちらはそれなりの厚みがありながら柔らかい。
別メーカーで同じような厚みのものを見たことがありますが、やはり硬いので細かい作業向きではないんですよね。こちらなら、例えばチタンマグカップの蓋のつまみのような小さいものをつまむ際にも有用です。
ただ、最近100均でこんなものを見つけました。
シリコン製の鍋つかみ。
耐熱温度は不明ですが、鍋つかみと謳っているからには、そう簡単に溶けたりしないでしょう。こちらも柔らかくて良いサイズなので、用途によって使い分けようかなと思っています。
3. 火起こし器(ホンマ製作所 ステンレス 火起こし達人 F-110 1,915円)
一言でいうと、「着火剤無しで備長炭にも着火できる」という凄いやつです。
(動画を見ましたが、新聞紙の上に割り箸と消し炭または普通の木炭を置き、その上に本物の備長炭を乗せて着火→30分程度で備長炭まで真っ赤になるのを確認しました)
要は中が空っぽの煙突なのですが、長さがあるので煙突効果が凄い。炎が筒の上に見えるくらいの燃え方をします。
難点としては、
・ただの軽い筒なので、倒れないように何かで支えないと危ない
→実はウチの七輪に刺すとピッタリサイズなので、大体それで済ませてます。またはBBQグリルの上で、二枚の網で挟むとか。まぁ中に入っている炭の重さもありますので、実際に倒れてしまったことはありませんが。
・丁度良い入れ物が無い
→そんな訳で購入時の箱を後生大事に取ってあるわけです。
外す時は細いトングで持ち上げるだけ。炭はそのまま下に残ります。
ちなみにこの細いトングに加え、割り箸、軍手までもセットで入っているという中々気の利いた商品でした。さすがはホンマ製作所です。
4. トング(tent-Mark DESIGNS KING Tongs 確か1,000円ちょっとくらい)
「名も無き」と言っておきながら、割と有名なトングでどうも済みません。
ただコレ、メインで使っている人を自分以外に見たことが無いんですよね。Wild-1店舗か同社のウェブで普通に購入できますが、約40cmと丁度良いサイズ、軽い、安いということの他に、個人的に大事なポイントが2つ。
・開きすぎていない形状
例えば他メーカーの同等サイズのものと比較すると分かりやすいのですが、こちらは開き方が最小限なので、使う際に余計な力を入れる必要が無いんですね。狭いといっても、例えば薪を掴むのに困った、ということも無いですし。
また他社製品で、閉じた状態で固定するストッパー機能が付いているものも見かけますが、余計な動作が入ると段々使うのが面倒になります。
パッとつかんでサッと使える、余計な力が要らない、というのが私には有難いこと。
・リフターになる
こういうことですね。
リフターって「ダッチオーブンの蓋を持ち上げる」以外の使い道を思いつかなかったので買ったことが無いのですが、私の場合はこれで十分です。力を入れやすいので落ちることもないし。
あまりに好きすぎて、ミニサイズも買いました。
キングトングS、という18cmのもの(現在は廃番)。ソロストーブに小枝を入れる、等という用途ではとても使いやすいだろうなと思いつつ、買ったことに満足して未使用のまま。700円とかだったのでまぁ良いのですが。
5. 鉄板と蓋(メルカリ イワタニ カセットコンロタフまる非黒皮鉄板 3,180円)
26.5cm四方の正方形鉄板、厚さは3.2mm。それに高さ4cmの蓋。
これに加えて同じ厚みの小型鉄板(12×18cm)、そして一式納められる収納袋等もオマケでついてきます(今確認したら、現在も値段は同じ、オマケもちゃんとついているようです)。
とても綺麗な仕上がり、丁寧な梱包、送料込みでこの値段、というのに単純に感心しました。メーカー品なら蓋だけでこのくらいの価格になりますしね。
これはもうズバリ、餃子とお好み焼き専用です。鉄フライパンと比べても、やはり厚みのせいか仕上がりが段違いでした。
6. 棒たわし(矢車印 棕櫚棒たわし 1,680円)
左が今回紹介する「棒たわし」です。
鉄フライパンや中華鍋を洗う際、右にある竹製の「ささら」を使う方は多いと思いますが、どうにも私には使いにくかったんですね。
固くて割れやすいので水に漬けてから使う、でもそれで放置するとカビが生える、洗う時に掌に当たって痛い(このため、定番ですが私も角にやすりを掛けました)、こびりつきには強いが細かい汚れが落ちにくい気がする、など。
でもこの「棒たわし」はその辺りをクリアしていて、買ったそのままで便利に使えています。特に下準備も無く、また手を濡らすことなく鍋やフライパンを洗える、というのはとても快適なこと。
細かい油汚れも綺麗に落ちる気がしますが、これは先端をささらと見比べると良く分かります。
ささらと比べ、かなり目が詰まっているというか、「面で洗う」イメージ。洗剤を使わずに洗うなら、何となく油分まで拭き取ってくれそうなこちらが好きなのです。
ちなみにこちら、色々なブランドから色々な形状のものが販売されています。私がこれを選んだのは単に「サイズも価格も中くらいだった」「ぶら下げる紐が付いている」「洗う側の毛先が比較的長い(もっと端の方に金輪が付いているタイプもあり、結果毛先の稼働範囲が狭いのですが、洗う面の半径が小さいのは使いにくいかなと思って避けました)」というだけ。
手の大きい人であれば、もっと大きいサイズの方が洗える面積が大きく、また長さもあるので更に手が濡れにくい気はします。
7. 火付け役(平野技研工業 スパークL 1,609円)+ 類似品
さて最後はこちら。
ガス燃焼機器(イグナイターが無いガスバーナーやガソリンバーナー)に、火花を出して着火するだけ、という大変ニッチな製品。とはいえ、実はこの記事最大の目的はコイツを紹介することにあったのでした。
イグナイターは他メーカーからも数種類出ていますが、短いために手のすぐ近くで着火することになったり、あるいは火花の飛ぶ位置がランダムだったりと少し使いにくい。こちらは狙ったところに正確に火花を飛ばせること、ジッポライターの石のような消耗部品が無いことがお気に入りのポイントです。
まぁ「100均の長いライターで良いんじゃないの?」というサチ子さんのような方には、「その通りです」と答えるしかないのも確かです。ただ火元近くに置いても溶けない・燃えない・爆発しないのはライターと比較してのメリットですね。勿論そんなことサチ子さんの前では言いませんが。
ところで、この商品をご存じの方は「何故この記事でお勧めするのか」と疑問に思われるかもしれません。
というのもコロナ禍の影響で原材料の入手が困難になったとかで、数年前に製造中止になってしまったのです。当然通販では買えず、恐らく店頭在庫を持っているお店も無いと思われ、オークションでは10倍以上の値段が付くこともある。
それを敢えて今回紹介するのは、「中国製などのコピー製品も決して悪くない、機能としては十分」ということを、両方持っている私が書いておこうと思ったためです。ちなみにアマゾン等で現在買えるコピー品は1,000円未満ですが、送料も掛かるので結局本家と同じくらいの価格になります。
では実際に比較してみます。
まずは日本製のホンモノ、スパークLのパッケージ。
ちなみに実測重量は約175g。
そしてMade in ChinaのVL-Light という製品。こちらは140gです。
誰がどう見てもコピー品ですが、金型が違うのか、細かい部分の形状が少しずつ異なります。形状やパッケージについてはむしろコピー品の方が格好良い気もしますね。
次に本体を並べた時の様子。
上が本家ですが、違いは本体の色ツヤと先端の形状。色味についてはコピー品の方がツヤ有りで何となく安っぽいメッキという感じ。先端の形状は・・・実は同じなのですが、コピー品は輸入の際なのか私の保管が悪かったのか、少し潰れてしまったというだけなのでした。ペンチで成形しなおしましたが結構固かったので、そんなにヤワなものという訳ではなさそうです。
そして肝心の使用感や性能ですが、引き金の引き心地と先端の火花の出方を見比べたところ、「私では区別がつかない」というのが実情でした。
耐久性の違いは分かりませんが、そもそも単純な構造で安価でもあり、一生モノではないと考えると、「高いお金を払ってオリジナルの中古を買うなら、定価で買えるコピー品で良いんじゃないの?」と思った次第です。
いずれにせよ、こうしたコピー品が出るくらいの名品である、とは言えそうですね。
さて以上7品、主役にはなりえないけれど手放せない銘品を見てきました。マイナーブランドの「知る人ぞ知る」品ばかりですが、現時点では通販で普通に買えるものに絞って紹介しています。
サチ子さん「・・・ちょっと」
ぢゃづ「はい?」
サチ子さん「このブログ、タイトルに名前が入っているくらいだから、私が出てこない記事はどうかと思うんだけど」
ぢゃづ「イヤその・・・脇役にスポットを当てる回でしたので・・・」
そんな訳で今回の記事、読んでくださった方の琴線に触れる製品が一つでもあったことを祈りつつ、今宵はここまでとさせていただきます。