サチ子さんと庭先料理人の終わらない夜

サチ子さんと子供達に「おいしい!」を言わせるため、庭先料理人ぢゃづの右手と財布が今日も火を噴くのだった。

Why don't you smoke ? -vol.1-

あなたが今すぐ燻製を始めるべき理由はいくつかあります。

 

 そのひとつは、『住環境を選ばず始められる』から。

 

ここ数年は燻製がブームだそうですが、私の周囲では全くそういう気配がありません。

飲み会などで「休日何をしているか」と聞かれ、「燻製」と答えた時の反応は毎回同じです。

 

「ぢゃづさん山小屋とか持ってるんですか?!」

 

これじゃブームも何も無いだろと思った私は、「燻製の最初の敷居がどれだけ低いか」を記事にしていこうと思い立ったのでした。

 

さて、燻製を作るにあたり最初に考えなくてはいけないのが、「家のどこで燻製をするのか」ということ。

 

・台所

・ベランダ

・庭

 

大体この3パターンかと思います。アパート→マンション→一軒家で選択肢が増えていきますが、増えたら「どこで」ではなく「何を」作りたいかで選べばいいだけのこと。

 

今日はその中でも一番汎用性が高い、台所での燻製作りについて見ていきます。

 

台所、と聞くとまず煙や匂いが気になる方も多いでしょう。

結論から書くと、換気扇さえ回していれば問題ありません。

 

匂いは部屋に多少残りますが、2日もすれば完全に消えます。それにいわゆる焦げ臭さとか生臭さのような嫌な匂いではないので、ご近所から苦情が来ることもないかと(不安な方は夜など時間帯を選べば良いでしょう)。

また今回お勧めするタイプの場合、外に漏れる煙はサンマでも焼くのに比べたらほぼ皆無です。蓋をした鍋の中で煙がゆっくり循環しつつ、食材や鍋肌に染み込んでいくイメージですかね。

 

では台所で燻製を始めるにあたって必要なものを書いておきます。

 

①鍋または鍋型のスモーカー

②丸網

③スモークチップ

 

これだけです。その気になれば1000円以下でもスタートできるハードルの低さが、このパターンの魅力の一つでもあります。

 

https://www.instagram.com/p/BNk6tB3j2-R/

まずはこの中華鍋タイプ。底が半球状なので、何も使わずに丸網が固定されるんですよね。鍋・網・蓋で3000円コース。

ただ固定される位置が鍋の底に近すぎると上手くスモークされないので、ホームセンターなどで実際に組み合わせてみて、「鍋の縁に近いところで固定されるサイズ」の網を同時に購入するのがお勧めです。あ、ガラスの蓋も普通セットでは売っていないので併せてどうぞ。このガラスというのが、燻製中に色付きの様子を観察できるという点でもお勧めです。

ちなみに土鍋型の場合、鍋よりも一回り大きな丸網を用意、鍋と蓋の間に挟むというのがセオリーです。これだと100均で全部揃えられるからコスト面でも優秀。ただ加熱中に食材の水分が鍋に落ちるとヒビが入ることがあるそうです。まぁ100円なら気にしなくていいや。

 

ところで私は土鍋型は使っていませんし、この中華鍋も実は先日処分しました。

イヤ、だってIHじゃ使えないですし。

 

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 次がこちらの「普通の鍋」+「脚付き網」。これも計3000円コース。

IHだから必要に迫られて、なのは勿論ですが、中華鍋と比べて小ぶりで取り回しやすいのもポイントですね。ただ脚付きの網となると微妙な値段(SOTO キッチン用燻煙網 ST-142という型番ですが確か700円ぐらい)なのと、網の大きさに合わせて鍋のサイズが決まってしまう(あまり大きな鍋は使えない)のがネック。チャーシューなどを作るのは難しいと思います。

 

そんな訳で、

・1000円以下で始めたい・・・土鍋型

・大きな食材も燻製したい・・・中華鍋型

・完全にIH環境・・・普通の鍋型

 

・・・というところでしょうか。

勿論どのタイプでも「燻製専用にする」つもりで用意してくださいね。「何だか最近毎日ウチの味噌汁が煙たい」とか家族に言われたらあなたの燻製ライフは終了です。

 

最後にスモークチップ。

スモークウッドとどう違うのか最初分からなかったのですが、

・チップ・・・燻製中はずっと加熱し続ける必要があるため、食材にしっかり火を入れる「熱燻」向き(大型のスモーカーなら温燻も可能)。長時間スモークする場合、途中でチップを交換・追加する必要がある。ランニングコストは安め、というかチップが切れたらティーバッグの茶葉とかでも良いそうです。サチ子さんの理解を得られないと思うのでやりませんけどね私は。

・ウッド・・・一度点火すれば燃え尽きるまで熱源不要。だからあまり火を入れたくない燻製に向いています。割って使うことで燻製時間を調整出来るのもポイント。ただ、しっかり点火しないと立ち消えすることがありますというか私の場合一度も一発で成功したことがありません。それと鍋型のスモーカーだと酸素供給が出来ないので、必然的にウッドは使えないんですよね。まぁ私の場合、チップより割高というのがあまり使わない最大の理由です。

 

・・・と、このように私は理解しています。多分合っていると思うんですけれど。

チップの種類については書き始めるとキリが無いので一つだけ。

「まずはサクラのチップを買いましょう」的なことを書いている本などがやたらと多いんですが、あんなに癖の強いチップ(肉などにはベストマッチですが)から始めたら「うわ自分にはこの味は無理」と感じる人もいると思うんですよね、というか私は思いました。

大体チーズあたりから試そう、という人がほとんどでしょうから、癖の少ないヒッコリーを個人的には推します。お酒好きな方ならホワイトオークも良いですね。

 

では実際にスモーク。

鍋にひとつかみのチップを入れて強火にかけ、煙が出てきたら網と食材を置いて蓋を閉め、中火に落とします。

例えばチーズとかナッツなら15分~30分ぐらいで十分。これなら途中でチップの補充も不要です。

火を止めたらしばらく放置します。残っている煙を食材に当てる目的もありますが、いきなり蓋を開けると煙が部屋に広がるというか一度サチ子さんにこれで怒られました。10分程度放置すれば蓋を開けても煙は出ないはずです。

後は出来上がった食材をその辺に放置するかラップをかけて冷蔵庫に入れるかして落ち着かせます。出来立てはちょっと煙感が強いので。

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たったこれだけ。

ホームセンターから帰ってきたら、誰でも1時間後にはスモークチーズが食べられます。イヤまぁ「その前にやることがあるでしょ?」と風呂掃除などをさせられる私のような例外はありますが。

 

そんな訳で今回は「台所で安く簡単に燻製を始めるには」をテーマにお送りしました。続きは「庭やベランダでレッツ燻製」になるんじゃないかと思います。いや多分。